捕獲した子猫の去勢手術
我が家の預り猫、おさじさんとウィンクは、かなり大きくなった。
去勢手術は、発情期が来る前にするとよいと言われている(諸説色々あります)。
よし、やろうと、病院に予約を入れた。
問題は、どうやって動物病院に運ぶかだ。
大体触れないのに、移動用のケージになんて移し替えできない。
「洗濯ネットに入れてみたら」
とアドバイスされ、チャレンジしてみたのだが、ウィンクさんは今にも噛みつきそうで、できる予感がしない。
よいプランもないまま当日の朝を迎えた。
おそるおそる布製のキャリーケースを、フタを開けた状態で3階建てのケージに入れる。
なんだなんだと騒ぎながら見ていた2匹だったが、そのうちするりとキャリーケースの中に潜り込み、取っ組み合いを始めた。
ゆっくり近くに行き、そっと上のファスナーを閉める。
一瞬静まり返るおさじさんとウィンク。
できた…
できたよ…(泣)
あたし、すごい。
キャリーケースからでられないことがわかった2匹は、中から爪で引っ掻きまくる。
暗い狭い中に入れたら静かになるはずが、中の動きが止まらない。
しかし、病院開院まではあと1時間。申し訳ないが中に入っていてもらおうと思い眺めていると、
閉じたはずのキャリーケースから、ひょっこり顔を出すおさじさん。
!
!!
「ちょっと!ちょっと!」
と慌てて駆け寄ると身をよじらせ、出てこようとする。
よく見れば、メッシュが貼られた部分が中から剥がれ落ちている。
おい、頼むぜ、北欧家具屋のペット用品…
購入して初回でこれとは…
「だめ!」
と大きな声で叫ぶと、おさじさんはひどくびっくりした顔をして、引っ込んだ。
洗濯ばさみを大量に持ってきて、破れた箇所を塞ぐ。
キャリーケースを立て、破れた箇所が手が届かないようにした。
おさじさんとウィンクと目が合う。
みゃーと不安げに鳴いている。
泣きそうになる。
怖いよなあ。
閉じ込められて、怒鳴られて。
私もやっとできないなりに、少し信頼関係を気づいたのにな、これでパーだ。
しかし、こんなチャンスなんてない、
このキャリーケースにはもう自主的には入らないだろう。心を鬼にして、そのまま車に積む。
病院に着けばあっという間に預かってもらえた。
その日。動物病院では里親会が行われていた。
たくさんの人が、ひょいひょいと、ねこを触る。
結構ショック。
猫好きの人はなんてないことでも、私には難しい。
触れなければ、ケージにも入れられず、里親会に出られない。
大体人に、もらわれない。
家族がみつからん。
ギブアップだ。
おさじならいけるが、ウィンクはできそうにない。
よし、頼もう。達人に頼もう。
と勇気を振り絞り、優しそうなボランティアさんにウィンク先輩を1ヶ月預かってもらいたいとお願いした。
このまま、私がウィンクと暮らすとか、
不器用だけど優しいウィンク先輩と猫が苦手な私が抱き合えたり、とかしたら、
うまい着地だな、と思うのだが。
初恋なんて。うまくいかない。
そんなのエゴだ。
ウィンク先輩のためにならん。
大体。仕事ででかけているから、朝7時から夜7時まで、12時間も人と触れ合えないのだ。
慣れにくいよな。
優しいボランティアさんが、ウィンクを慣らしてくれることになり、
手術の終わった病院から。そのまま連れていってもらった。
ホッとするけど。どこか虚しい。
できなかったなあ。
ふとテレビを見ると。小室さんがニューヨークに。
よし、うちもそうしよう。
ウィンク先輩の留学と呼ぼう。
留学から戻ってらしたら、1流のマナー身につけ、触れるのではないかしら。
私は別の方法で里親を探そう。
おさじさんはもー。なんか。メタメタに主人になれまして。
抱っこすると腹を出して寝るほど人間になれました。
私にはできない。
結局私が猫になれていないのだ。
※本日の教訓 ケージはやっばり、アイリスオーヤマに限る。